まなびの森通信

まなびの森通信

自然あふれる富士山2合目の「まなびの森」フォレストアークから
四季折々のようすやボランティア活動についてお伝えします。
みなさん是非「まなびの森」へ足をお運びください。
お待ちしております。
富士山「まなびの森」フォレストアーク副館長・管理人
沢田明宏

【第215回】新緑からドンドンと深緑に

2023年 5月31日

 5月に入って清々しい新緑の季節となり、晴れた日には木洩れ日が鮮やかでマイナスイオンが溢れています。林床にはヤマシャクヤクやヤマクワガタ、クルマバソウ、ヤマトグサの花が咲き、サラサドウダンやカマツカと言った樹木も花を沢山つけています。中でも、ヤマトグサは日本固有種であり、現在放映中の朝ドラの主人公である牧野富太郎博士が第一号に和名をつけた植物として知られています。地味な花ですが、雄蕊(おしべ)がカンザシの房飾りのように垂れ下がり、風にユラユラ揺れている姿はなんとも可憐です。牧野博士が日本を代表する植物として命名したヤマトグサですが、日本各地で絶滅危惧種に指定されていると言う悲しい現実があります。
 今年は沢山のブナの実生が林床に芽生えています。場所によっては50㎝四方に30本以上芽生えているところもあるくらいです。ブナの実は多くの森の動物のエサとなります。そして、数年に1回動物が食べきれないほどたくさん実を付けて子孫を残そうとします。
 去年、初めて「まなびの森」で見かけたキイロスッポンタケが今年もたくさん発生しました。粘液状の胞子に異臭があり、その臭いに誘われて虫がやって来ます。キイロスッポンタケは虫媒花と同じ仕組みで子孫を増やしています。
 森が深い緑になっていくにつれて、オオルリ、コルリ、キビタキ、カッコウ、ツツドリなどの夏鳥の啼き声も賑やかになってきます。「まなびの森」はもうすぐ梅雨を迎えようとしています。

  • 澄んだ青空に新緑が目に眩しい

  • 林床を覆いつくすバイケイソウの大群落

  • 日本を代表する草であると牧野富太郎博士が命名したヤマトグサ

  • 今年はブナの実生が大発生 この写真の中だけでも10数本あります

  • キイロスッポンタケ 緑黒い胞子粘液が雨で洗い流され、色鮮やかな傘がハッキリ見えます

  • 今にも開花しようとする白いボールのようなヤマシャクヤクの蕾

  • ヤマシャクヤクが花開くとひと際美しい

  • ヤマクワガタの花をいくら眺めても名前の由来はわからない 実ができて初めてわかる

  • 可憐なサラサドウダンが今年はたくさん花を咲かせました

  • カマツカの花はきれいな梅鉢型

  • 5㎜ほどの小さな花を咲かせるクルマバソウ

  • 枝の先端でしきりに囀る若いコルリの雄

  • 背中や胸の黄色が鮮やかなキビタキは森の中では意外に見つけにくい
    ※野鳥の写真はいずれも先月に引続き「野鳥の会」会員の望月さんのご厚意で提供していただきました。

【第214回】春爛漫から新緑の季節

2023年 4月30日

 暖かな3月から一転し、4月に入ると肌寒い日が続きました。4月8日には最低気温が氷点下となり、地面には沢山の霜柱が出現しました。思い返せば、4年前「まなびの森」に赴任した最初の年、4月に雪が積もって通勤できなくなったことがありました。
 朝夕が肌寒い所為でしょうか、フデリンドウがなかなか開花せず、4月半ばにやっと可愛らしい花を開きました。マメザクラやほかの草花は2週間以上早く咲きはじめたのに… 今年の気温変化にフデリンドウはついていけなかったのかもしれません。
 マメザクラが満開になり、「まなびの森」入口のゲートにあるトウゴクミツバツツジが同時に咲き出したのには驚きました。この4月で5回目の春を迎えた訳ですが、マメザクラとトウゴクミツバツツジが同じ時に咲いているのは初めてのことです。
 春になって小鳥たちも忙しく啼き交わし、巣作りの準備に余念がありません。シジュウカラがシカの毛やコケなどが混ざったものを咥えて運んでいた時、フワフワと落ちて来たものがありました。咥えていた巣材の一部が嘴の先からこぼれてしまったようです。
 「まなびの森」は春真っ盛り、まもなく新緑の季節です。

  • 暖かな日が続いたと思ったら、急に冷え込んで 4月8日朝には霜柱が出現

  • マメザクラがほぼ満開に

  • トウゴクミツバツツジがマメザクラと共演しています

  • ブナなどの根に寄生するヤマウツボ

  • チョッと可哀そうな名前のヨゴレネコノメソウ 「汚れ」の由来は葉っぱを見ればわかる

  • シジュウカラが咥えていたシカの毛やコケなどの巣材がフワフワと落ちてきました

  • ヤマエンゴサクはケシ科の可愛らしい花 一目見た姿はスミレの仲間か、と勘違いします

  • モクレンの仲間のコブシの白い花

  • 春の訪れを告げるフデリンドウの可憐な花は今年は少し遅咲き

  • 小さな白い花はタニギキョウ 良く観察すると秋に咲くキキョウとよく似ています

  • ゴジュウカラが枯れ枝の中の虫を探しています

  • メジロが芽吹いた新芽を啄んでいます ※野鳥の写真はいずれも「野鳥の会」会員の望月さんのご厚意で提供していただきました。

【第213回】早い季節の訪れで春爛漫

2023年 3月31日

 今年は3月に入ってすぐとても暖かな日が続きました。
 そのため、3月初めに「まなびの森」一番に開花するオニシバリに続き、中旬には早くもミツマタが満開を迎えました。ミツマタが咲くと辺り一面が甘い薫りに包まれ、とても春らしい雰囲気となります。
 そして、トレールに沿ってキバナノアマナも可憐な黄色い花を咲かせています。例年より2~3週間早い開花となりました。バイケイソウも暖かさに誘われるように新芽を芽吹き始めました。そして、ほかにもコガネネコノメソウやユリワサビ、アブラチャンやヤドリギも例年より早く一斉に花を咲かせています。こんなに一斉にいろいろな花が咲き誇ることは珍しく、季節外れの暖かさが続いた賜物だと思います。
 富士山スカイラインの標高800m辺りまではマメザクラが開花しているので、「まなびの森」での開花は4月初旬となるのではないでしょうか。
 3月16日「企画懇談会」が開催されました。昨年1年間の活動報告と各種調査報告、今年の活動計画を発表してステークホルダーの皆さんと話し合うのが「企画懇談会」です。昨年は対面・Zoom併用開催だったため「富士山環境交流プラザ」をお借りしての開催でしたが、今年は2年ぶりに「フォレストアーク」で開きました。いただいた貴重なご意見を活かしながら今年も「まなびの森」を安全・円滑に運営していきたいと考えております。
 2023年は「まなびの森」25周年の記念すべき年ですが、富士山にとっても特別な年となっています。1998年に富士山憲章が制定されてから25周年、そして2013年に世界文化遺産に登録されて10周年と言う記念すべき年となっていますので、これに関連したさまざまな記念行事が富士山周辺で開かれることでしょう。今後の管理人日記でもできるだけご紹介していきたいと考えています。

  • バイケイソウの新芽

  • ミツマタが甘い薫りを漂わせています

  • キバナノアマナが開花

  • 早春の花 コガネネコノメソウ

  • ユリワサビの花

  • ヤドリギの花 横のピンク色の蕾はマメザクラ

  • アブラチャンの花 背景はミツマタの花

  • 今年の企画懇談会は2年振りに「フォレストアーク」で開催

  • 閉会挨拶をお願いした静岡大学客員教授の増澤先生

  • 富士山世界文化遺産登録10周年記念のロゴ

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